大谷翔平が二塁打を量産しているワケとは? 序盤戦データで見えてきたバッティングの新傾向 (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【今シーズンの打球は「これまでよりも速い」】

 ただ、今シーズンはいつになくプル・ヒッティングの割合が高いというわけではない。2021年は今シーズンと似ていて、それぞれ46.6%、30.6%、22.9%だった。2021年の場合、最初の30試合の方向は、39.8%、36.4%、23.9%なので、プルの割合は最初の30試合よりも31試合目以降のほうが高い。

 ちなみにドジャースのプル・ヒッターは、大谷ではなく、同じ左打者のマックス・マンシーだ。今シーズンのマンシーの打球方向は、プルが60.7%、ストレートとオポジットは19.7%ずつ。昨シーズンもプルの打球が半数以上を占めていた。

 また、今シーズンの大谷は、グラウンドボール(ゴロ)が少なく、ラインドライブ(ライナー)の打球が多い。こちらの割合は、グラウンドボールが32.3%、ラインドライブが36.4%、フライは27.3%だ。

 過去6シーズン中5シーズンは、グラウンドボールの割合が42.5%を超えていた。最も低い2021年でも、ほぼ40%の39.7%だ。ラインドライブは、最も高かった2019年が30.9%、2番目は2018年の27.6%。2020年〜2023年の4シーズンは、いずれも25%に達していない。

 今シーズンはラインドライブの割合が高く、それが二塁打の量産となっている──と読み取ることもできる。

 打球のスピードは、例年どおり極めて速い。過去3シーズンの平均初速は、2021年が93.6マイル(約150.6キロ)、2022年が92.9マイル(約149.5キロ)、2023年は94.4マイル(約151.9キロ)。今シーズンは94.5マイル(約152.0キロ)だ。

 今シーズンの打球は「これまでよりも速い」と言ってもいいかもしれない。初速115マイル(約185.1キロ)以上の当たりは、2021年〜2023年の各シーズンが10本、5本、11本であるのに対し、今シーズンはすでに4本を数える。

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