山本由伸らドジャース投手陣戦力分析 手術から復帰組のカムバックプロセスは大谷翔平の参考になる (4ページ目)
【カギを握る手術からの復帰組と若手の台頭】
こういったほかの投手のカムバックへのプロセスは、2025年に投手としての復帰を目指す大谷にとっても非常に参考になる。2024年、大谷は指名打者で毎日プレーしながら、リハビリも同時進行。知見を積み重ねたチームメートやスタッフたちがアドバイスを送ってくれる。これ以上の環境はほかにないかもしれない。MLBにはハドソン以外にも、2018年、2023年のワールドシリーズで大活躍したネーサン・イオバルディ、カブスで今永昇太のチームメートとなったジェームソン・タイヨンなど、数は少ないものの、2度の肘の手術から復帰できた投手が存在する。手術の技術もリハビリの内容も、年々向上しているのは確かだ。
果たしてハドソン、ビューラー、メイの3人は今季どれだけドジャースのために投げられるのか? ちなみに長年ドジャースのエースとして君臨してきたクレイトン・カーショーも今夏に肩の手術から戻る予定だ。
とはいえこういったリハビリ中の投手たちが、きちんと復帰できるかどうかは定かではない。そこでドジャースが期待するのは生え抜きの若手たちの成長だ。
2020年のドラフト1巡ボビー・ミラーは昨季デビューを果たし、22試合に先発して11勝4敗、防御率3.76。196cm、99kgの恵まれた体で、直球の速度は平均99.1マイルだ。今季は山本、グラスノーに次ぐ3番手の予定である。ほかにもギャビン・ストーンとエメ・シーハンがいて、彼らがミラーのようにメジャーでも結果を残してくれればいいのだが、昨季はうまくいかなかった。ちなみに昨季はベテラン先発陣にケガ人が相次ぎ、若手もミラー以外は苦戦したため、先発投手陣の防御率は4.57で30球団中20位。ポストシーズンの敗因にもなった。そこでこのオフ、大金を投資したのだが、お金はスネルやモンゴメリーのような確実なベテランではなく、「高額な宝くじ」に使われた。
果たしてフリードマン編成本部長の賭けは、成功するのだろうか。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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