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山本由伸らドジャース投手陣戦力分析 手術から復帰組のカムバックプロセスは大谷翔平の参考になる (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【2度の手術経験者の復帰にも注力】

 その上で今、球団が総力を挙げて取り組んでいるのは2度の肘の手術を受けた投手たちをいかに再生させるかだ。トミージョン手術から復帰できた投手は近年たくさんいるが、2度の手術となると、復帰率は著しく落ちる。だが大谷翔平と10年契約を結んだことでも分かるように、フリードマン編成本部長はこの難題に向き合い、解決する自信がある。

 ダニエル・ハドソンは2度の手術を乗り越え、リリーバーとしてメジャーで8シーズン活躍し、2019年はワシントン・ナショナルズの世界一の立役者のひとりとなった。2022年にドジャースに復帰し、2023年は膝のケガで3試合しか投げられなかったが、それでも36歳のベテランにチャンスを与え続ける。2月28日(日本時間29日)のレンジャーズ戦で山本に次いで2番手として登板し、無失点に抑えた。

 ウォーカー・ビューラーは2018年と2021年に2度オールスターに選出されたエース格の投手。クレイトン・カーショーの後継者とも期待されていた。しかし2022年8月23日に2度目のトミージョン手術を受け、戦列から離れている。復帰時期については慎重だ。今季の開幕戦なら手術から約19カ月だが、そこは目指していない。

「手術後、12カ月から14カ月で一応は投げられるけど、本来のピッチングができる状態に戻るには18カ月から24カ月はかかる。1回目の手術の経験でそれは分かっている」とビューラー。188cmの細い身体をしならせダイナミックに剛速球を投げ込む。ゆえに痛めやすいのかもしれない。そこで今回はウェイトトレーニングに励み、体重を増やした。

「トレーニングのやり方を変えるのに抵抗はあったけど、2度もケガをしたから、ほかの方法を考えないといけないと判断した」と説明するビューラー体重は83kgから92kgに。「周りに大きい選手が多いから目立たないけど、ヤマモト(山本由伸、体重は約80kg)の隣に立てば太ったのが分かる」と笑う。

 首脳陣も急がせない。復帰は5月くらいか。そして公式戦の登板数は抑え、ポストシーズンの10月に万全な状態で臨ませたい。

 もうひとりはダスティン・メイ。2019年にメジャーデビューを果たしたが2021年に5試合を投げたところでじん帯を痛め、5月にトミージョン手術を受けた。15カ月間のリハビリに耐え、2022年8月に復帰。しかし「感じは良くなかった。投げる度に痛かった。みんながトミージョン手術の後は痛むけど、ある日カチッとハマってうまくいくと言っていた。その時を待ったけど、良くなるどころか、むしろ悪くなった」と振り返る。2023年は開幕から先発で4勝1敗、防御率2.63の好成績だったが、痛みは続いた。5月17日の試合で突如球速が落ち、1イニング降板。診断の結果ひじの屈筋腱に損傷があるとわかり、7月に修復手術を受けた。2度目はトミージョン手術ではなかったが、それでも12カ月間のリハビリが必要だった。

 現在は平地でキャッチボールをする程度まで回復。マウンドに上がって投げるのは早くても4月下旬。本人は8月か9月にメジャーで投げたいと言うが、球団は慎重に事を進める。まだ26歳と若いだけに、先発投手を続けるかどうかなども検討していく。

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