大谷翔平の投球はすでに「シーズン中盤並み」の完成度。開幕投手に向けては「新ルール」も追い風に

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

「これは恐ろしい。大谷はいい状態だ」

 3月21日(現地時間:以下同)にアリゾナ州のテンピ・ディアブロスタジアムで行なわれた、カンザスシティ・ロイヤルズとのオープン戦に登板した大谷翔平について、『MLB.com』は速報でそのように表した。

3月21日のオープン戦で好投したエンゼルスの大谷3月21日のオープン戦で好投したエンゼルスの大谷この記事に関連する写真を見る 大谷はこの日、50球、2回1/3を投げて3安打1失点、5奪三振。最速は99マイル(約159キロ)だった。今季初の実戦登板での好パフォーマンスを、『MLB.com』は「(ロサンゼルス・)エンゼルスのマドン監督も感銘を受けた」と伝え、同監督のコメントを次のように紹介した。

「大谷はとてもよかった。素晴らしかったよ。捕手の(マックス・)スタッシも、『昨年よりさらによくなった』と言っている。(2安打を放ったロイヤルズの)若手のエドワード・オリバレスにとっていい打席となったが、大谷は傑出していたし、すべてがうまくいった。私は本当に感銘を受けたよ。配球もよく、速球もよかった」

 現地メディアも、この日の大谷を絶賛している。「大谷が投じた速球は打者をすり抜け、変化球は何人かの打者を凍らせた。エンゼルスの"二刀流スター"はマウンド上でさらによくなった」(『ESPN』)、「大谷翔平は、この春に早くもサイ・ヤング賞投手のような姿を見せた」(『ザ・コールド・ワイヤ』)。

 大谷の実戦登板は、現地メディアが抱えていた不安を一掃するものだった。これまでの報道では、満票でMVPを獲得した昨季と同レベルの活躍を期待する一方で、体調と調整具合を心配する声もあった。その理由は、今年の調整期間があまりにも短いため。新労使協定交渉の影響で、キャンプが当初の予定から約1カ月遅れの3月14日スタートとなり、さらにオープン戦は、キャンプインからわずか3日後の17日からというタイトなスケジュールになった。

 大谷はキャンプ2日目の15日からブルペンで投球を行ない、同日の記者会見では「フィジカル面はすでに昨年よりいい状態でここまできている」と語っている。しかし実戦を見るまでは、現地メディアも状態を評価できなかった。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る