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イチローから現役最後のメッセージ (11ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 今後、大谷選手はどんなメジャーリーガーになっていくと思いますか。

「投げることも打つこともやるのであれば、僕は1シーズンごとに、1シーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として、それでサイヤングとホームラン王を獲ったら。だって、(大谷選手以外は)そんなこと考えることすらできないですよ。でも翔平はその想像をさせるじゃないですか。その時点で、明らかに人とは違う選手であると。その二刀流はおもしろいと思うんですよね。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年に50本打って、MVP獲ったら、バケモンですよね。でも、想像できなくはないですからね」

―― イチロー選手の小学校の卒業文集が有名だと思いますが、小学生の自分に今、声をかけるとしたら。

「お前、契約金1億ももらえないよって。夢は大きくと言いますけど、なかなか難しいですよ。ドラ1の1億って掲げていますけど、遠く及ばなかったですよ。ある意味で挫折ですよ」

―― 昨年マリナーズに戻りましたけど、その前のマリナーズ時代、何度か自分は孤独を感じながらプレーしていると。ヤンキースに移られ、マーリンズに移られ、プレーする役割も変わってきました。去年ああいうかたちになって、今年引退。孤独感はずっと感じてプレーしていたのでしょうか。

「現在それはまったくないです。今日の段階で。それとは少し違うかもしれないですけど、アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので、孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになると思います。だから、つらいことしんどいことから逃げたくなるのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気な時に立ち向かっていく。そのことはすごく、人として重要なことなんではないかと感じています。長い時間ありがとうございました」

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