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ファン、雄星、翔平、プロ野球へ。
イチローから現役最後のメッセージ (8ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― これまでポスティングやWBC参加など、数多くの決断があったと思うのですが、今まで一番考え抜いて下した決断はなんだったのでしょう。

「順番はつけられないですね。それぞれが一番だったと思います。アメリカにプレーするために、今とは違うポスティングシステムだったんですけど、自分の思いだけでは当然かなわないので、球団からの了承がないと行けなかった。じゃあ、その時に球団にいる誰かを口説かないといけない。その時、一番に浮かんだのが仰木(彬)監督で、その何年か前からアメリカでプレーしたいという思いは伝えたりしていたんですけど、仰木監督だったら美味しいごはんとお酒を飲ませたら、うまくいくんじゃないかと。そう考えていたら、まんまとうまくいって、口説く相手に仰木監督を選んだのは大きかったなと思いますね。ダメだダメだとおっしゃっていたものが、お酒でこんなに変わってくれるんだと。お酒の力をまざまざと見ましたし、やっぱり洒落た人だったんだなと。仰木監督から学んだことは計り知れなかったですね」

―― 今年、菊池雄星投手がマリナーズに入って、去年は大谷翔平選手がエンゼルスに入りました。イチロー選手が後輩たちに託したいものはありますか。

「雄星のデビューの日に、僕はこの日を迎えたというのは、なんかいいなと思っていて、『ちゃんとやれよ』と思いますね。短い時間でしたけど、すごくいい子で......翔平はケガを治してほしいですね。物理的にも大きいわけですし、アメリカ人にも引けを取らない。あのサイズで、あの機敏な動きができるというのはいないですから。それだけで、世界一の選手にならなきゃいけないですよ」

―― 野球への愛を貫いてきたわけですが、野球の魅力とは。

「団体競技なんですけど、個人競技のところですかね。これは野球のおもしろいところだと思います。チームが勝てばそれでいいかといえばそうじゃない。個人としても結果を残さないと。生きていくことはできないですよね。本来、チームとして勝っていれば、チームとしてのクオリティーは高いはずなので、それでいいんじゃないかという考え方もできるんですが、決してそうではない。その厳しさがおもしろいところかなと思いますね。あと、やっぱり同じ瞬間がないということ。必ずどの瞬間も違うということ。これは飽きがこないですよね」

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