ファン、雄星、翔平、プロ野球へ。イチローから現役最後のメッセージ (6ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― ファンの方々に伝えられたこと、伝わっていたらうれしいなというものはありますか。

「先程もお話ししましたけど、人より頑張るなんてことはとてもできないんですよね。あくまでも計りは自分のなかにある。それで自分なりに、その計りを使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超えていくということを繰り返していく。そうすると、いつの日か『こんな自分になっているんだ』という状態になって。だから、少しずつの積み重ねが、それでしか自分を超えていけないというふうに思うんですよね。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと考えているので、地道に進むしかない。進むだけではない。後退もしながら、ある時は後退しかしない時期もあると思うので、でも自分でやると決めたことを信じてやっていく。でもそれは、正解とは限らないですよね。間違ったことを続けてしまっていることもあるんですけど、でもそうやって遠回りすることでしか、本当の自分に出会えないというか、そんな気がしているので、そうやって自分なりに重ねてきたことを、今日のゲーム後のファンの方の気持ちですよね。それを見た時に、ひょっとしたらそんなところを見ていただいていたのかなと......それはうれしかったです。そうだとしたらすごくうれしいですし、そうじゃなくてもうれしいです」

―― 現役選手を終えたら、監督になったり、指導者になったり、あるいはまったく違うタレントになったりしますが、イチロー選手は?

「なんになるんだろう。そもそもカタカナのイチローってどうなんですかね。元カタカナのイチローとかになるんですかね。元イチローって変だよね。ただ、監督は絶対無理ですよ。これは"絶対"がつきますよ。人望がない。本当に人望がないんですよ」

―― そうでもないと思いますけど。

「いやぁ、ないですね。それぐらいの判断能力は備えているんで。プロの選手、プロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁がどうしても日本の場合、特殊なかたちで存在しているので......今日をもって元イチローになるので、それは小さな子どもなのか、中学生なのか、高校生なのか、大学生なのかわからないですけど、そこには興味がありますね」

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