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MLB戦力補強分析。
オフの「勝ち組」「負け組」・ナ・リーグ編 (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 そのナショナルズと同じ東地区に所属するマイアミ・マーリンズは、日本人ファンにとって気になるチームのひとつでしょう。このオフは、オリオールズからFAとなった元中日のチェン・ウェインや、2009年にオールスターにも出場したエドウィン・ジャクソンといった先発投手を新たに加えました。

 そのなかでも一番の注目は、新しくなった監督とバッティングコーチでしょう。ドン・マッティングリーとバリー・ボンズがマーリンズのユニフォームを着ることになりました。メジャーの歴史に名を刻む彼らがイチロー選手と同じチームで交流する様子は、とても興味深いです。

 また、昨年はトミー・ジョン手術でシーズン半ばに復帰したエースのホセ・フェルナンデスと、ケガで欠場の多かった主砲のジャンカルロ・スタントンが、2016年は開幕から全開でプレーします。この投打の柱がフル回転すれば、今シーズンの大穴となる可能性を秘めているでしょう。

 そして最後は、前田健太投手の獲得で注目度の増した西地区のロサンゼルス・ドジャース。こちらは残念ながら、「勝ち組」とまでは言い切れません。日本通算97勝の前田投手と、32歳左腕のスコット・カズミアーを新たに加えましたが、昨年19勝3敗・防御率1.66(ナ・リーグ1位)をマークしたザック・グレインキー(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の穴は大きすぎます。さらに昨年10勝(9敗)をマークしたブレット・アンダーソンがキャンプ中に腰痛で長期離脱するなど、先発投手のレベル低下は否めません。

 はたして、今シーズンはどのチームがスタートダッシュを決めるのか。実力が拮抗するナ・リーグは2016年も大いに盛り上がりそうです。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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