ツーシーム、バックドア...。今メジャーリーグで話題の球種は? (4ページ目)
一方、メジャーで愛用されているチェンジアップも、いろんな呼び名が増えてきました。まずは、「スプリット・チェンジ(split change)」。これは、スプリット・フィンガー・ファストボール(SFF)を投げるときのように、ボールを指で挟むようにして握ります。これを決め球にして注目されるようになったのは、タンパベイ・レイズのアレックス・カッブという先発投手です。彼の投げるスプリット・チェンジはバッターの手前で鋭く沈むので、空振りを奪うときの最大の武器となっています。近年、使い手の増えている球種のひとつと言えるでしょう。
また、「スリーフィンガー・チェンジ(three finger change)」も最近のメジャーリーガーは好んで使っています。ボールをがっちりとホールドしやすいので、安心して投げられることが好まれる要因のようです。ボストン・レッドソックスで先発を務めるリック・ポーセロが使い手として有名です。
あと、「バッグス・バニー・チェンジ(bugs bunny change)」という変わったネーミングのチェンジアップもあります。バッグス・バニーとは、アメリカの有名なアニメに登場しているウサギのキャラクターのことで、ちょこちょこと動き回って捕まえづらいボールの軌道をすることから、この呼び名になりました。タイガースのアルフレド・サイモンという先発投手が得意としています。
このように、メジャーリーグでは次々と聞き慣れない呼び名の球種が誕生しています。日本では浸透していない呼び名ですが、現地のメジャーリーグ中継では解説者が頻繁に使っており、アメリカで発売されているスカウティングレポートなどを読んでいると、今回紹介した球種が記載されています。常に新しい発見があることも、メジャーリーグの魅力だと思います。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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