ツーシーム、バックドア...。今メジャーリーグで話題の球種は?
昨年までメジャーで活躍していた黒田博樹投手が日本球界に復帰したとき、彼の投げる「ツーシーム」という球種が話題となり、日本の各メディアが大きく取り上げていました。ツーシームの正式名称は、「ツーシーム・ファストボール(two seam fastball)」といい、速球でありながらシュート気味にボールが沈むため、バットの芯を外して打者を打ち取るのに有効な球種です。アメリカではメジャーなツーシームですが、黒田投手の日本球界復帰で耳にすることが増えたように感じます。メジャーリーグでは聞き慣れない球種の名前が次々と生まれてくるので、今回はそれらを紹介したいと思います。
カーブの握り方を披露するナショナルズのジオ・ゴンザレス 黒田投手が球界復帰したとき、ツーシームという球種とともに、「バックドア」「フロントドア」という単語も話題となりました。バックドアというのは、正式には「バックドア・ブレーキングボール(back door breaking ball)」といい、これはバッターの外角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる変化球のことを指します。スライダーやカーブ、カット・ファストボール(※)など、外角のボールからストライクに入れてくることを、総称してバックドアと呼びます。
(※)カット・ファストボール(cut fastball)=リリースする際にボールを切るように投げる球種。通称「カッター」と呼ばれ、直球に近い球速で小さく鋭く変化する。
一方、フロントドアはバックドアと逆のことで、バッターの内角からストライクゾーンに入ってくる変化球のことです。バックドアで最も多く用いられている球種はスライダーで、アメリカでは「バックドア・スライダー(back door slider)」と表現されています。一方、フトントドアはフォーシーマー、カッター、シンカーなどが多く、「フロントドア・フォーシーマー(front door four seamer)」と呼ばれています。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)