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【MLB】史上最小165cmの首位打者、誕生なるか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 一方、ア・リーグの投手部門で最も気になる存在は、クリーブランド・インディアンスに所属するコーリー・クルーバーでしょう。現在、13勝(9敗)はトップと2勝差のリーグ8位タイで、防御率2.72はリーグ6位、そして215奪三振はリーグ3位の位置につけています。主要3部門のトップにいるわけではありませんが、いずれも射程距離内といえるでしょう。

 日本で無名に近いクルーバーという投手は、現在28歳になる先発右腕です。2011年にインディアンスでメジャーデビューし、2013年には11勝(5敗)を挙げて初のふたケタ勝利をマーク。そして今シーズンは、前半戦からコンスタントに勝ち星を伸ばし、オールスター選考ではア・リーグのファイナルボード(最終候補5人)まで残りました。

 そして圧巻なのは、オールスター明けの成績です。前半戦は防御率3.01でしたが、後半戦は始めの7試合の先発で防御率1.15。また、被打率.172という抜群に安定したピッチングを披露し、両リーグトップの成績を残したのです。

 クルーバーの最大の武器は、キレのあるカーブ。アメリカ随一の野球専門誌『ベースボール・アメリカ』が選ぶ「ベストカーブ部門」で、クルーバーはア・リーグ2位にランクインされています。ちなみに1位はニューヨーク・ヤンキースに所属する新人リリーフ投手のデリン・ベタンセス、3位はデトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーでした。近年まで最高のカーブの持ち主はいえば、バーランダーの名前が挙がっていたので、現在ア・リーグでナンバー1の先発カーブボーラーはクルーバーです。

 ただし、クルーバーは変化球投手ではありません。193センチの長身からオーバーハンドで投げる本格派で、95マイル(約152.8キロ)前後の剛速球も持ち合わせています。この強力なふたつの球種を武器に、三振の山を築いているのです。今年7月にカージナルスへ移籍したジャスティン・マスターソンに代わる新たなエースとして、今は手のつけられないピッチングを見せています。この勢いは、まだ止まりそうにありません。

 はたして今回紹介した3人の選手は、初のタイトルを手にすることができるのでしょうか。あまり知られていない存在が一躍スターになるのも、メジャーリーグの醍醐味だと思います。

※成績は9月2日現在

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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