2014.05.22

初対決から15年、イチローと松坂大輔がともに背負ってきたもの

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by AFLO

 ヤンキースのクラブハウスで、イチローが訊いてくる。

「ダイスケ、どんなボールを投げてるの?」
「スピードは?」
「フォームは?」

 たたみかけるような質問に、「かなり力のある真っすぐを投げてるよ」「92マイルは出てるんじゃないかな」「フォームは前とはまったく違うよ」と、矢継ぎ早に答えていく。すると、イチローがひとこと、こう言った。

「へーっ、そうなんだ」

今回、サブウェイ・シリーズでの対戦はなかったイチローと松坂大輔。

 その瞬間、イチローはこちらがビックリするような、嬉しそうな顔をした。

 メッツのクラブハウスでは、松坂大輔が訊いてくる。

「イチローさん、練習に出てきますか」
「なんで腰痛めたんですか」
「対戦できないのかなぁ」

 これまた、たたみかけるような質問に、「グラウンドには出てこないかもね」「ミルウォーキーでライトフライをヒザで滑って捕りにいこうとしたら、芝が土ごと剥がれて、ブレーキがかかっちゃったみたい」「最近、どんなボールを投げてるのか、気にしてたよ」と、こちらも矢継ぎ早に答えていく。すると、松坂はひとこと、こう言った。

「これが今シーズン、唯一の楽しみだったのになぁ……」

 その瞬間、松坂はこちらが想像したとおりの、落胆した表情を浮かべた。