2014.05.21

松坂大輔、好投しても先発に戻れない本当の理由

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 ヤンキースとのサブウェーシリーズでメッツの松坂大輔が今季初勝利を挙げた。これでメジャー通算54勝となったが、この1勝はリリーバーとして挙げた初めての勝利でもあった。

現地時間5月13日のヤンキース戦でリリーフとして今季初勝利を挙げた松坂大輔。

 ストレートは最速93マイル(約149キロ)を計時し、カットボールは91マイル(約146キロ)の切れ味を見せた。ヤンキースタジアムの球速表示はメジャーの球場の中では平均レベルだが、かつて松坂が6年間在籍したレッドソックスの本拠地であるフェンウェイパークなら、ストレートは95マイル(約152キロ)、カットボールも93マイルは出ていたであろう。それほどに、松坂の投げるボールは唸(うな)りを上げ、力のある彼本来のボールが蘇(よみがえ)っていた。

 この状態の良さは何年ぶりだろうか。おそらく2008年に18勝を挙げた時以来だと感じるが、普段は自分の投げるボールに対してなかなか満足しない松坂も、少しだけ手応えを口にした。

「ちょっと戻ってきているかな、という感覚はありますね。いい感じになっていると思います」

 右ヒジのトミー・ジョン手術だけでなく、右僧帽筋、太腿、ふくらはぎなど、これまで松坂は健康面で泣かされ続けてきた。それが2009年から昨年までの5年間で20勝しか挙げられなかった大きな原因だ。彼にとって我慢の時が長く続いたが、健康な体を取り戻せば、彼らしい力のあるボールが戻るのも当然のこと。まだ33歳と老け込む年齢ではない。黒田博樹、岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大らとともに、日本人先発投手として輝きを放ち、高い実力を証明してほしいと願うばかりだが、松坂の現状はリリーバーである。

 松坂が今季、メジャーに昇格したのは4月16日。以来、好投を続けても立場は変わっていない。この現状に、メッツのビートライターも首をひねっている。