松坂大輔やダルビッシュ有とは違う、田中将大流「進化論」
強いものが生き残るのではない。環境の変化に適応できるものが生き残るのだ――。
かつて、国会の所信表明演説でそんなふうに叫んだ一国の首相がいたが、彼が引用したとされるダーウィンの進化論によれば、生物の進化は、生存と繁殖のための変異、その生物が存在し続けるための競争、努力に基づく自然選択によって引き起こされてきたのだという。
開幕に向け、順調な仕上がりを見せている田中将大。
では、この発想を日本からメジャーに戦いの場を移すピッチャーに置き換えてみよう。
環境の変化、イコール、メジャーのマウンドは日本に比べて高く、硬くなる。
この変化をかなり厄介だと感じる日本のピッチャーは少なくない。主にキレのいいスライダーを投げるピッチャーにこのタイプが多いのだが、広く歩幅を取り、重心を低く保ったまま下半身の力で粘って、長い距離の体重移動をしながら腕を加速させてきたピッチャーにとって、メジャーの高く、硬いマウンドは、下半身に想定外の重い負荷をかけてくる。松坂大輔、ダルビッシュ有などはこのタイプだった。
松坂は歩幅を狭め、下半身の力に頼らなくても済むよう、上体の力を強くしようと努めた。
ダルビッシュはすべての筋力を均等に、+1ずつ上げていこうという突き抜けた発想をした。
いずれも、肉体にかかる負担は小さくない。それでも日本のエースたちは、メジャーで生き長らえるために、あえて厳しい選択をしてきた。
では、田中将大はどうか。
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