全米中が大フィーバー。今、ア・リーグの三冠王争いが面白い! (3ページ目)
デイビスが突如ブレイクしたのは、ふたつの理由があると言われています。ひとつは、選球眼の向上です。かつてはホームランか三振かの典型的な大振りタイプだったので、打率は高くありませんでした。しかし最近のデータによると、ほとんどボール球に手を出さなくなっています。そしてもうひとつは、バットスイングの変更です。以前はスラッガーらしいアッパースイングでしたが、レベルスイングに変更したことで確実性が増したのです。
6月2日に両リーグ通じて20号一番乗りを果たし、現在、打率.356(リーグ2位)、20本塁打(同1位)、52打点(同2位)。デイビスは決して「春の珍事」ではなく、「ホンモノ」です。そして注目すべきは、長打率でしょう。カブレラの.668に対し、デイビスは1割近く高い.754。これはメジャー断トツの数字なのです。
【ア・リーグ主要打撃3部門】
[打率]
1位 カブレラ .366
2位 デイビス .356
[本塁打]
1位 デイビス 20本
2位 カブレラ 17本
[打点]
1位 カブレラ 65点
2位 デイビス 52点
デイビスが4月の月間MVPを獲ると、カブレラも負けじと5月に打率.379・12本塁打・33打点をマークし、5月の同賞を受賞。別のリーグなら、「お互い三冠王を取れるのでは?」というほどの勢いです。主要打撃3部門すべてをふたりの選手が争っている状況は、近年記憶にありません。今後もこの両者のタイトル争いは続きそうです。ぜひ、彼らふたりの活躍から目を離さないでください。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
3 / 3