2013.06.03

今だから言える「イチロー2年契約の真実」

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

メジャー13年目のシーズンを迎えたイチロー。 華やかしい記録を保持するイチローにとって、昨年の冬はこれまでとはひと味違った偉業を成すことになった。それが、契約終了時に40歳を超える野手への複数年契約というものだ。

 最近10年間、契約終了時に40歳を過ぎ、複数年契約を交わした野手で思い出されるのはふたり。ゴールドグラブ賞の常連だったオマー・ビスケルと、まったく年齢を感じさせないプレイで魅了したフリオ・フランコだ。

 2004年のオフ、サンフランシスコ・ジャイアンツは37歳のビスケルと3年契約を交わし、2005年にはニューヨーク・メッツが47歳のフランコと2年契約を結んだ。最終的にビスケルは45歳まで、フランコは49歳まで現役を続けた。

 そしてイチローも、昨年末にヤンキースと2年契約したことにより、輝かしい実績を残した彼らの仲間入りを果たした。

 昨年の夏、ヤンキースはシアトル・マリナーズのイチローをトレードで獲得した。

 シーズン終了後、イチローは野球人生で初めてフリーエージェントになった。ヤンキースがイチローを引き留めたいと思っていても、彼の獲得を熱望する他球団との争いは避けて通れなかった。フィラデルフィア・フィリーズがイチローに2年契約を持ちかけた時、おそらくヤンキースは同等の契約を提示しなければ再契約するのは難しいと考えたに違いない。

 フィリーズのフロントには、ジェネラル・マネージャー(GM)を補佐するシニア・アドバイザーという職にパット・ギリックが就いている。彼はGMとして3度のワールドシリーズ制覇(92、93年ブルージェイズ、08年フィリーズ)を成し遂げ、2010年に殿堂入りを果たした。

 また、1999年にシアトル・マリナーズのGMに就任したギリックは、2000年11月にメジャー初の日本人野手となるイチローを獲得したことで脚光を浴びた。当初、イチロー獲得は大きな賭けと思われていたが、2003年にギリックがマリナーズを去る頃には、「イチローとの契約は賢い選択だった」と球界に高く評価されることになった。