2012.08.15

【MLB】黒田博樹が語る
「日本人投手がメジャーで生き抜くために必要な哲学」

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

今年7月にはメジャー通算50勝を挙げた黒田博樹 ヤンキースの黒田博樹が安定した仕事ぶりを見せている。最近5試合では7回途中3失点、7回1失点、8回2失点、7回途中1失点、7回無失点。試合後のコメントもいつも同じような感じだ。

「状態はあまり良くなかったと思いますけれど、何とか粘り強く投げられたと思います」

 状態があまり良くないにも関わらず、すべてがクオリティスタート(QS=先発で6回まで投げ自責点3点以下に抑えた試合)とは恐れ入る。しかも、黒田が属しているア・リーグ東地区は強打者が多い上にストライクゾーンが狭いと言われている。それに打者有利の球場も多く、投手にとっては過酷な環境といえる。その中で、ここまで10勝8敗、防御率3.19(現地8月13日現在)。決して試合を壊さない安定した投球内容に、辛辣(しんらつ)なニューヨークのメディアも、「これほど素晴らしい投手だとは思わなかった」と頭を下げた。

 安定感――08年のドジャース時代から黒田はQSが多い。常にストライクを先行させ、昨年までのメジャー4年間通算での与四球率(=1試合に与える四球の数)は2.10。松坂大輔やダルビッシュ有など、メジャーに来て制球に苦しむ日本人投手が多い中で、なぜ黒田はここまで安定した投球を続けられるのだろうか。

「こんなものかなと思ってやるしかないですからね。日本で投げていたイメージなんて追い求めていたら、こっちではやっていられない。ボールの違いや中4日の環境にしてもそう。その環境は変わらないんですから、気にしても仕方ない。こっちでも安定しているボールもあれば、まったく使いものにならないボールもある。その中で自分がどうやっていくか。頭を切り替えてやっていくしかない」