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【高校野球】専大松戸・持丸修一監督が貫く"郷土愛と競争"の真意 「寮がないから負けたとは絶対に口にしたくない」 (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Yu Takagi

 その"ある時期"とはいつか? そう尋ねると、「昔のことすぎて忘れちゃった」と茨城訛りで愛嬌たっぷりに笑うが、「(当時指揮していた)竜ヶ崎一は進学校でしたが、"頭のいい生徒しか入ってこないから勝てない"と思ったことは一度もありません。負けは負け、勝ちは勝ちです」と、すぐ真剣な眼差しに戻った。

【勝敗のあとにこそ教育的配慮が必要】

 勝利へのこだわりは強いが、一方で高校野球は"教育の一環"であることにも重きを置いている。

「もちろん勝ちを目指します。勝負ですからね。でも、負けた時に悔しい、ダメだったで終わるのではなく、負けたからこそ踏ん張ることや頑張ることを覚える。逆に勝った時こそ自重し、自分を律する。そういうところに教育の意味があるのではないでしょうか。結果が出たあとにこそ、教育的な配慮が必要だと思います。だからこそ、勝っても負けても、その理由を説明しなければいけません」

 たとえば、昨年夏の千葉大会。専大松戸は優勝候補に挙げられていたが、5回戦で姿を消した。

「優勝候補と言われていましたが、投手陣は決して強くありませんでした。それでも、弱いなりにチームがひとつになって、一生懸命やりました。だから、たとえ負けたとしても、悔いはないはずだと。やろうとした努力はちゃんと認めるよ、という話をしました」

 そして夏休みに入ると、2年生以下の新チームの練習を手伝う3年生があとを絶たず、常に10人ほどいたという。

「3年生のサポートは本当に大きかったですね。支える人間があってこそのチームですから。そうした土壌が出ているのか、ベンチに入れる、入れないで力を抜く子はいません」

 普段は選手たちに厳しく接する持丸監督だが、そう語る表情はどこか穏やかで誇らしげだった。

【教え子3人が起こした奇跡】

 また、持丸監督の功績を語るうえで欠かせないのが、投手育成力の高さだ。

 2021年4月17日、自身の73歳の誕生日には、美馬学(当時ロッテ)、上沢直之(当時日本ハム)、高橋礼(当時ソフトバンク)という教え子3人が、揃って勝利投手となるという"奇跡"も起きた。

「あれはうれしかった。去年も、美馬が引退試合に呼んでくれたことも感慨深かったですね」

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