【夏の甲子園2025】山梨学院の「二刀流」右腕、菰田陽生が示した驚きの成長曲線 「日本球界の宝」がいよいよ本格化
「怪物」がその長い足をのぼり階段にかけ、ぐいっと全身を高みへと押し上げる。菰田陽生(こもだ・はるき/山梨学院2年)の進化を目の当たりにして、そんなイメージが浮かんできた。
8月11日、山梨学院対聖光学院(福島)の甲子園2回戦。山梨学院の先発右腕・菰田は6回までノーヒットノーランを続けていた。
7回に初安打を許し、一死三塁から左前適時打を浴びたところで菰田の交代が告げられた。試合は山梨学院が終盤に勝ち越し、6対2で勝利している。
初戦の聖光学院戦で先発し好投した山梨学院・菰田陽生 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【"投げ屋"から"投手"へ急成長】
身長194センチ、体重100キロ。菰田の巨躯には、無限のロマンが詰まっている。山梨学院の吉田洸二監督が「日本球界の宝」と表現し、話題にもなった。
この日、菰田が投じた最高球速は147キロ。今春の選抜で最速152キロを計測しただけに、物足りなく映った高校野球ファンもいたかもしれない。
だが、投手としての中身は、春とは比べものにならないほど濃密だった。選手の技術指導を担当する吉田健人部長は言う。
「選抜は大差がついたなかでの登板で、『これが菰田だ』と力を見せつけるような投球でした。でも、それでは長いイニングは投げられません。選抜は春先でしたし、この素材を壊してはいけない。『まだ今じゃない』と我慢して、2年夏くらいから先発できるようになればと思い描いていました」
満を持して迎えた、2年夏の甲子園だった。菰田は立ち上がりから力感のない投球フォームで、どんどんストライクゾーンに投げ込んでいく。球速は常時140キロ前後に抑え、時には出力を上げ、140キロ台中盤の剛速球を投げ込むシーンもあった。
この日の投球スタイルについて聞くと、菰田はこう答えた。
「まずは最少失点に抑えること。後ろは3年生が絶対に守ってくれるので、打たせて取ることを考えていました。出力をずっと上げても体力が持たないので、少しでも長いイニングを投げられるように、8割くらいの力感で投げました」
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




























