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【夏の甲子園2025】連覇に挑む京都国際、昨夏の優勝を知る選手たちが吐露していた苦悩「自信をつけたつもりが...何も変わっていなかった」 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi

【常にこだわってきた100%】

 昨夏の甲子園優勝メンバーのひとりである三塁手の清水詩太は、打線のキーマンであり、今秋のドラフト候補にも名前が挙がる逸材だ。

 その清水も日本一達成のあと、苦しんだひとりだ。練習試合では木製バットでフェンス越えを連発するが、公式戦の勝負どころでなかなか一本が出ない。昨年秋の京都外大西戦でも、何度もチャンスで打席が回ってきたが、いずれも凡退した。

 以前、清水はこんなことを漏らしていた。

「冬の間はかなり自分を追い込み、『これだけやれば夏こそは』という思いで春を迎え、自信もついたつもりでした。しかし春も、秋と同じような負け方をしてしまい......『何も変わっていない』と痛感しました。

 それでも普段の練習では、チームメイト同士で高め合ってきたつもりです。昨年のチームは、感情を出していい場面でも冷静に、長打が欲しい場面でも欲を出さずに、しっかり結果を残せていました。でも、今年はそれがなかなかうまくいかず......そこが一番苦しかったですね」

 そのため、常にこだわってきたのが"100%"だ。普段の練習から力を抜かず、全力でやりきる。声を出す、全力疾走、思いきり投げる──。感情を表に出せなくても、態度や声で気持ちをぶつける。内に秘めた思いを少しずつ表せるようになったことで、夏へ向けチームのボルテージも、徐々に高まっていった。

【大きかった京都大会3回戦の勝利】

 今夏の府大会3回戦では、春の府大会を制した京都共栄と激突。甲子園出場を狙ううえで、最初の大きなヤマだった。じつは西村は6月末から調子を落としており、1、2回戦は登板なし。京都共栄戦が今夏の初登板となった。

 試合は西村が毎回三振を奪うなど快投を続けていたが、打線が京都共栄の変則左腕・小林海翔をなかなか攻略できない。スコアボードには両校ともゼロが並び、試合は延長タイブレークにもつれ込んだ。

「夏もまた、秋と春と同じ展開なのか」

 そんなため息すら聞こえてきそうな流れだった。

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