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【夏の甲子園2025】青藍泰斗を35年ぶりの聖地へと導いた「4番でエース」「在任2年の主将」「27歳の青年監督」 (3ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro

【本音を言い合えることが大事】

 2年間キャプテンを務め、佐川が得たものは何だったのか。

「ここまでつらいことを乗り越えてきたので、甲子園という夢の舞台で試合ができたことは本当に幸せです。でも、やっぱり1勝はしたかった。ウチのチームの選手はみんな個性が強く、ぶつかることも多かった。そこをうまくまとめられれば、本当に強いチームになるんじゃないか。2年間キャプテンをやって、そう感じました。後輩たちには、表面だけの付き合いではなく、ぶつかり合いながらも話し合って、いいチームをつくってほしいです」

 今大会最年少である27歳の青山監督は、佐川の言葉について次のように語る。

「チームづくりにおいて、選手同士が本音を言い合えるというのは非常に大事なこと。大切なのは、うわべだけじゃなくて、芯から向き合うこと。佐川に苦労をかけたけど、そういうことができるチームじゃないと、勝ち上がれないと思います。

 高校野球にはいいところもたくさんありますし、変えなければいけないこともあります。新しい風を吹かせたい。そういう意味でも、1年生の秋から佐川にキャプテンを任せてよかった」

 新チームが始まるが、在任期間2年のキャプテンが抜けた穴をどうやって埋めるのか。青山監督が言う。

「2年生の人数が少ないんですけど、2本ヒットを打った服部隼士は大舞台でも臆することなくプレーしてくれました。1年生の富田創史もそう。彼らが中心になって頑張ってくれると思います」

 次なる目標は甲子園での1勝。青藍泰斗の挑戦が始まった。

著者プロフィール

  • 元永知宏

    元永知宏 (もとなが・ともひろ)

    1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長

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