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【高校野球】全国制覇まであと2つでの登板回避 高校時代の達孝太は将来メジャーで投げることを最大の目標にしていた (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

── あと2つ勝てば日本一。次の相手は東海大相模。少々痛くても......という迷いや葛藤はありましたか?

「投げたい気持ちはありましたけど、監督がいつもおっしゃっていることがあります。『ケガをして自分が普段の50%の力しか出せない状態で、別の選手が100%の力を出せるなら、どちらが今、上なのか。チームにとってどちらがいいのか』と。そこを考えた時、今回は自分ではなく、別の投手が投げるほうがいいと納得して決断しました」

 準々決勝の翌日は1日空いたものの、投球動作をすると軽い痛みを感じたため、監督と話し合い、準決勝は試合展開に関わらず投げないことを確認したという。当時の状況をそう説明した達に、さらに続けて尋ねた。

── もし夏に、県大会決勝や甲子園大会の終盤で同じような場面になったとします。疲れも溜まって、体にも少し違和感がある。そういう状況でも、選抜と同じように割り切って決断できますか?

「春より決断しやすいと思います。夏のほうがステップまでの時間が短い分、そこで無理をすると次の世界のスタートに影響が出ますから」

── チームメイトから「投げてくれ」「最後はおまえで終わりたい」と言われても?

「その状況になったらどうかですけど、今の考えとしたらふつうに割り切ると思います」

── 無理をしないという考え方は、「メジャーで活躍したい」ということが明確になり、強くなったのですか?

「そうですね。ただ、高校野球を2年半やって、チームの目標は夏の甲子園優勝。そのなかで自分だけが先のことを口にすると、ひとりだけずれてしまうというか......そこは難しいところではあります」

 選抜の試合後、達自らが先のことを口にして注目が集まった。ただ堂々と口にできたのは、監督やチームメイトたちが普段から達の考えを理解し、その取り組みを目にしてきたからだろう。

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