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【夏の甲子園2025】東北学院「悲運のエース」と呼ばれた伊東大夢の今 「過去の自分がひとり歩きして...」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 そんな仮説をぶつけると、伊東はにっこりと笑って「本当にそのとおりだと思います」と答えた。

「僕としては、過去の自分がひとり歩きして、いまだに残っているのは、あまり気持ちのいいものではないです。『名電を倒した伊東だよ』って紹介されるたびに、『それ、まだやるか』って思ってしまって。当時はただ、無我夢中でやっただけですから」

 大学卒業後、伊東は再び硬式ボールに握り替えて、社会人野球でプレーする希望を持っている。今では、自分の可能性をリアルに信じることができる。

 もしかしたら、夢からさめていないのは「伊東大夢」に幻影を見ている周囲なのではないか。これからの野球人生をとおして、伊東は自分自身の実体を描き出そうとしているのかもしれない。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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