【高校野球】千葉商大付を陰で支える現役看護師の大人マネージャー 「子どもたちの心と体の変化に気づく存在でありたい」 (3ページ目)
中学時代はソフトボールをしていたこともあり、高校1年冬からノッカーも務める菅谷愛子さん/写真は学校提供この記事に関連する写真を見る 人生において何に価値を見出し、自分の時間を捧げるか。その判断基準は十人十色だ。周囲に非常識と思われる選択をする人が、新たな道を開拓するのかもしれない。
鳥海さんはあくまでもマネージャーという立場で、交通費を除いて報酬は発生していない。現在は夜勤で看護師として務め、日中にベビーシッターをすることもある。何か重要なことがあれば、野球部を優先できるようにするためだ。
姉妹のように仲良くなったふたりは、高校生の菅谷さんが主(あるじ)、"大人マネージャー"の鳥海さんが補助という関係でチームを支えている。
「選手たちに頼られるマネージャーになりたいです」
ふたりが初めて顔を合わせた時、菅谷さんは理想の姿をそう語った。
鳥海さんが観察すると、菅谷さんはすでに信頼を得ている様子だった。千葉商大付は、吉原監督の方針でマネージャーは各学年ひとりと決められている。菅谷さんは2学年上の先輩が引退して以降、ほぼひとりで支えてきた。
選手たちから事あるごとに「愛子」と呼ばれ、練習がうまく回るようにサポート。小学生の頃にソフトボールをプレーしていた菅谷さんは、高1の冬からノッカーも務めるほどだ。
【大人マネージャーの役割】
では、"大人マネージャー"はどんな役割を果たすべきか。鳥海さんは自身の立ち位置を熟慮した。
「高校生マネージャーが練習を支える役割だとしたら、私は子どもたちの心と体の変化に気づく存在でありたいと思いました。それは高校生のスキルではできないというか、看護師だからこそできるのかなと思います」
鳥海さんは悩んでいそうな部員の相談に乗るだけでなく、看護師ならではの強みも発揮している。たとえば食物アレルギーの部員がいることを知ると、アナフィラキシー反応を起こした際に使うエピペンの講習会を開いた。
夏に向けて力を入れるのが、熱中症の予防だ。水分を摂るタイミングに加え、水やお茶だけでなく塩分を摂ることも重要だ。命に関わることであり、絶対に未然に防ぎたいと考えている。
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