【高校野球】千葉商大付を陰で支える現役看護師の大人マネージャー 「子どもたちの心と体の変化に気づく存在でありたい」 (2ページ目)
鳥海さんは秋田で看護師として働き始める前、SNSに「マネージャー、もう1回やりたいな」と投稿すると、友人から地元の社会人野球チームを紹介された。そこで4年、さらに少年野球チームで同職を1年務め、マネジメントの醍醐味をさらに味わった。
「誰かが頑張る姿をずっと見届け、背中を押せることにやりがいを感じました。看護もそうだと思うけど、そういう存在になりたいという気持ちがあります」
高校を卒業して看護師になったのは、「子どもに関わりたい」と希望したからだ。だが、少子化の進む秋田では思ったほどその機会が得られなかった。
そこで2024年春、「子どもの一番多い東京で、看護師としてもっといろいろ勉強したい」と上京。小児科で働き始めた1カ月後、野球ロスに気づいた。
「東京に来て仕事以外に何をしようかと思った時、今までずっと仕事しながら携わってきた野球のマネジメントがないことに気づいて。秋田の社会人野球の監督に相談して、千葉商大付を紹介してもらいました」
そうして全国の高校野球部では珍しい、"大人マネージャー"が誕生した。
【この人とは仲良くできないかも...】
「どういうマネになりたいの?」
鳥海さんは"大人マネージャー"に就任して初めて千葉商大付のグラウンドにやって来た日、菅谷さんに単刀直入に尋ねた。
<あ、この人とは仲良くできないかも......>
菅谷さんは第一印象でそう思った。10歳近く年齢の離れるふたりは、当初は腹を探り合っていた。
だが、打ち解けるのに時間はかからなかった。鳥海さんは夏休みを前に勤務先の病院をやめ、生活のすべてを野球部に捧げたからだ。
「みんなに『頭おかしいんじゃない?』って言われました。でも野球って、1日1日が勝負じゃないですか。夏の大会に1日来られないで、その日に3年生が引退してしまったら、私は一生後悔すると思ったんです。それなら仕事をしている場合じゃない。貯金を切り崩して、ここの野球部に全振りしようと思って。私の人生はここに賭けようって」
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