【高校野球】退部志願2度のエースも変えた 「野球5、野球以外5」で鍛える堺東・鈴木監督の熱血指導 (2ページ目)
堺東野球部の10カ条からなる『練習における部訓(プライドづくり)』 photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る もちろん、野球の5を目一杯やりきったうえで、さらに生活面、勉強といった野球以外の部分で「ここまでやりきった」という5+αをつくる。この取り組みを、堺東では「プライドづくり」と呼び、その一環として、毎日の練習開始時に10カ条からなる『練習における部訓(プライドづくり)』を全員で唱和する。
これは鈴木が堺東に赴任した当初、「これだけやったらオレらも勝負できるものをつくってみろ」と生徒たちに呼びかけ、彼らが頭をひねって考えた案を叩き台に完成。それが今も受け継がれている。
「グラウンドでは全力疾走します」
「日々の積み重ねで自信をつけます」
「自分に厳しく、仲間に厳しく、何事にも妥協しません」
このように言うは易し、行なうは難しの文言が並ぶ。
メンタル強化のため、似たような取り組みを行なっているチームはほかにもある。しかし、大切なのは、口にした決め事や目標を、どこまで本気でやり抜けるか、そしてそれを積み重ねていけるかどうかだ。
【朝3時半起床の生活を19年】
堺東では、この教えを野球以外の生活面にも応用している。グラウンドの上でも、グラウンドの外でも、妥協のない取り組みが求められる。本気で取り組もうとすれば、当然厳しさも伴い、つい口先だけになってしまうこともある。しかし、そこで堺東の強みは指導者である鈴木自身が選手たちの格好の手本となるべく、日々ごまかしのない生活を送り、その姿を選手たちも間近で感じとっていることだ。
たとえば、鈴木の一日のスケジュールを聞くだけでも、その姿勢が伝わってくる。
毎日の練習が終わり、帰宅するのは21時前後。そこから食事をとり、風呂に入り、家ではテレビを見ることなく23時過ぎには就寝。そして3時半に起床し、4時半には出勤。
「だいたいそんな感じですね。いつも最後にカギを閉めて、朝は一番に来てカギを開ける。目覚まし時計がなくても、同じ時間に目が覚めますし、昼間に眠くなることもない。俗に言う"ショートスリーパー"なんでしょうけど、自分ではこのサイクルがふつうなんです」
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