「試合だとなんでうまくいかないんだ...」ドラフト上位候補の創価大・立石正広が苦悩と試行錯誤の末につかんだ復活への答え (2ページ目)
なぜノーステップ打法をやめたのか。立石に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「その時の直感もあります。ノーステップ打法って、バットの出はよくなるんですけど、極度に反応して、打ちたくないボールまで打っちゃうところもあるので。自分は昔の選手の動画を見ることがあるんですけど、落合博満さん(元ロッテほか)が『タイミングが合わない時ほど足を上げろ』と言っていたのを思い出して。いろんな考えはありますけど、追い込まれるまでの過程も悪くなかったので、やってみようと思いました」
有馬に対しても、特別な感情があった。合宿前、有馬が「対戦したい打者」として立石の名前を挙げてくれていた。意気に感じた立石は、「よし、打ってやろう」と闘争本能に火がついた。
左足を上げてボールを呼び込み、低めに落ちる変化球を着実に見極める。2ボール2ストライクと並行カウントに持ち込んだあと、立石が放った低い打球は二遊間を抜けていった。この一打が立石を蘇らせた。
「このままじゃまずいなと思っていたところで、あれがヒットになってくれて、めちゃくちゃ気持ちがラクになりました」
【2年連続大学日本代表選出】
翌22日の午前中に行なわれた打撃練習では、冒頭のとおり衝撃のバックスクリーン弾などサク越えを連発。午後に行なわれた紅白戦では、中前安打、四球、右翼フライ、左前安打、遊撃ゴロと2安打を放っている。
紅白戦を終えたあと、立石は「だんだんよくなってきました」と安堵の表情を見せた。
合宿2日目の立石の打撃フォームを見て、気になった点があった。前日までバットを立てて構えていたのが、この日は少し寝かせぎみに見えたからだ。
「もし間違っていたら申し訳ないですが」と前置きしたうえで立石に尋ねてみた。すると、立石はまるで他人事のように「あ、そうでしたか」と答えた。そして、立石はあっけらかんと続けた。
「自分は日によって平気で変えちゃうタイプなんです。構えは大事なので、『今日はダメだな』と思ったら、勇気を持ってコロコロと変えています」
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