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東北福祉大の164キロ右腕は長いイニングを投げられるのか? ドラフト候補・堀越啓太の葛藤と苦悩 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 じつはリーグ戦開幕2戦目(4月13日・東北工業大戦)で、堀越は先発登板する予定だった。ところが、堀越が右肩の違和感を訴えたため、登板を回避。復帰後も大事をとって、ショートイニングでの登板に留めていたのだ。

 山路監督は堀越に対して「ボール自体は悪くなかった」と評価しつつも、こんな苦言を呈している。

「同期の櫻井が昨日いいピッチングをしたので、堀越も鼻息が荒くてボールが高くなっていました。そこは今後の課題ですね」

 堀越が先発として長いイニングを投げるには、どんな要素が必要になってくるか。そう尋ねると、山路監督は少し考えてからこう答えた。

「投げるスタミナは十分にあると思います。オープン戦では志願して160球くらい投げた試合もあるくらいですから。ただ、もう少し低めに丁寧に投げなければいけないですね。『櫻井を見習え』と言いたいです」

 今後の堀越の起用方針を尋ねると、山路監督は「(大学選手権までに)オープン戦もあるので、もう一度見てから決めたいです。ほかにも先発をさせたいと考えているピッチャーはいますから」と答えた。

【腕の位置を元に戻した理由】

 試合後、うれし泣きした堀越は、報道陣の前に姿を現すなり「はぁ......、よかったです」と安堵の表情を見せた。

「今日はカウントを悪くしたあとの甘く浮いたボールを完璧にとらえられてしまいました。調子自体は悪くなかったです」

 肩の状態について聞くと、堀越は「だいぶ戻ってきました」と笑顔を見せた。

「シーズン前の関東遠征から戻ってから、オープン戦で連投したところ疲労が抜けづらくなってしまって。それで(開幕)2戦目の先発を辞退させてもらいました」

 投球アングルを元に戻したように見えた点について尋ねると、堀越は「はい、戻しました」と認めた。

「肩に疲労がきていたので、2週間くらいかけて修正しました。右腕が上がったことで、少し肩のラインから外れて出てくるようになって、肩に負担がかかりやすくなったのだと思います。昨年の仙台大戦では縦のスピンの効いたストレートのいいイメージがつきすぎて、縦の変化球を落としたい意識が強くなりすぎたせいだとも思います」

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