【大学野球】YouTubeで話題沸騰! 東大エース・渡辺向輝が解き明かす「新アンダースロー理論」 (3ページ目)
【フィニッシュが語るアンダースローの本質】
── 3つのポイントの詳細は東大硬式野球部の動画を見ていただくとして、いくつか教えてください。「①右足クロス」は、軸足(右投手なら右足)がフィニッシュ時にクロスするのがアンダースローの特徴だと渡辺投手は解説していました。これは意図的にクロスするのですか。それとも、意識せずとも結果的にクロスするのが自然ということですか。
渡辺 最初は意識的にクロスさせないと難しいと思います。オーバーは回転の中心が右股関節付近にあるのですが、アンダーは体重移動時に重心が前へいくという特徴があって。マウンドの傾斜もあり、回転を起こす位置も前寄りになります。すると、軸足は回転に勝手についてきて、クロスする形になるのが自然です。それを知らないと、右足で踏ん張ろうとしてしまい、スムーズに回転できません。
── アンダースローのフィニッシュの形に言及する人は、珍しいかもしれません。
渡辺 いろんなアンダースロー投手の動画を見るなかで、「右足が後ろ側に入ってくるな」と感じるところはありました。あとは理詰めで考えていくと、右足がこの位置にないと腕は下がらないよなという結論になりました。
── 「②真逆の軸足膝」も軸足の使い方です。これは軸足の膝の向き次第で、力の伝達がしやすくなるということですね。
渡辺 そうです。どのタイミングだと力が発揮されるかを考えているうちに、「そもそもどうやって力を発揮させるんだ?」と疑問が浮かびました。軸足の機能に関する論文を読み漁って、そこに体重移動時に軸足に弾性エネルギーが蓄えられて、回転につながるという内容が書いてあったんです。それを普段のキャッチボールで試すなかで、「アンダースローだと捕手寄りに体重移動するから、もっと前のほうのギリギリまで弾性エネルギーを残しておかないといけない」と考えました。前のほうでピーンと張るようにするためには、軸足の膝の使い方はオーバーとは真逆になるなと。
── 「弾性エネルギー」というフレーズ自体、野球ではあまり聞かないような気がします。さすが理系(理科2類・農学部)ですね。
渡辺 考え自体は、そんなに難しくないと思います。「引っ張られる力が強い」というだけの話ですので。
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