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【大学野球】父を超えるために! 東大のエース・渡辺向輝が導き出した"サブマリン"の方程式 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 野球選手というより、東大生らしい言い回しですね(笑)。今春の活躍次第では、プロ志望届を提出する可能性もあるとか。

渡辺 昨年と同じような成績なら、ただ単純に自分のうぬぼれなので、プロ志望届は出せません。フィジカル的な伸びしろは小さいし、強いチームで野球をやってきた経験もありません。ただ、自分のなかで今年にどれくらいの成績を残せるのか、読めないところがあります。もし、期待してもらえるような結果を出せたら、プロ志望届を出そうと考えています。

── ということは、自分に対する手応えもほのかに感じているのではないですか?

渡辺 今やっていることが実を結んで、目指している技術をすべて習得できたら、(東京六大学の)他大学のエースにひけを取らない成績を残す要素はあると思います。

── 今春の「答え合わせ」を楽しみにしています。

渡辺 ありがとうございます。

*     *     *     *     *

 膝を突き合わせた渡辺向輝はいかにも小柄で、大学4年生としては幼さも残る顔立ちが印象的だった。だが、顔つきはもちろん、時折挟むとぼけた語り口まで、父・俊介の面影を感じずにはいられなかった。

 すべて理詰めで積み上げてきたアンダースローの方程式。渡辺は今春、最適解を求めた答案を神宮球場のマウンドに提出しようとしている。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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