【大学野球】スポーツ推薦も専用グラウンドも寮もなし 西南学院大野球部が唯一無二の組織づくりでチームを強化する理由 (4ページ目)
東監督は「私も評価対象なんです」と笑う。企業で言えば、社員が社長を評価することも含めた360度評価のようなものか。
「人間は評価の項目がちゃんとあって、その評価が正しいと思えば納得して動くじゃないですか。それを監督ではなく、第三者がやる時に、まずは評価の項目をしっかりとつくらせるところから始めました。大体は監督が評価、判断するなかで、じゃあ監督が替わった時に何が残せるかと言えば、評価する『具体的なもの』ではないかと思い、アセスメントを設置しました」
監督の右腕には「学生リーダー」を置き、主務の仕事と並行して選手、学生コーチ、マネジャー、クリエイティブチーム、アナリストをそれぞれ管理・統括。そしてアセスメントがスタッフ、現場をそれぞれ評価し、より幸せな組織へ導いていく。トップダウン方式ではなく、学生が自主的に考え、行動する。全員の役割が明確化しているので、4年間を無駄に過ごす者は誰ひとりいない。
「私たちの活動テーマは『日本一誇れるチームをつくりたい』ということです。なぜ抽象的な言葉にしたかというと、『誇れる』のほうが、人生を強く、たくましく、そして心豊かに過ごせる人材を輩出することができるのではないかと思ったからです。
この4年間は、ただ野球をして終わっただけではなく、関わった学生たちが社会に出た時に誰かを幸せにできる、もしくは自分自身も幸せにできる時間にすべきだという思いから、組織全体で日本一を獲りにいっています」
全員が同じ方向を向いた組織ほど強いものはない。日本一誇れるチームになるための春が、もうまもなく開幕する。
著者プロフィール
内田勝治 (うちだ・かつはる)
1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう
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