【大学野球】スポーツ推薦も専用グラウンドも寮もなし 西南学院大野球部が唯一無二の組織づくりでチームを強化する理由 (2ページ目)
クリエイティブチーム内は、前身のサポーター時代から力を入れてきたYouTubeでの試合ライブ配信や、TikTok、インスタグラムなどのSNS運用をメーンとする「制作部」と、地域企業から協賛を得るための営業活動を行なう「営業部」、協賛金の管理、予算の組み立てなど、クリエイティブチームのマネジャー的役割を担う「総務部」の3部門に分かれる。
【企業を動かす学生の営業力】
2月下旬。そのクリエイティブチームが、協賛してくれた地域企業への御礼を兼ねた「年間活動報告会」を行なった。営業部からは、計21社から集まった協賛金118万円で、練習器具の購入や、ポスター、うちわの制作費、野球教室の開催費などに充てられたことが報告。つづけて、制作部、総務部も「大学スポーツ界に新常識をつくる」ための活動内容を、訪れたスポンサー企業へと伝えた。
東監督らスタッフ陣は、頼もしげに部員たちの発表を聞いていた。
「学生たちがどんな立場であれ、輝ける場所をつくれないかというところから始まりましたが、私の想像を上回り、もうサポーターというレベルでなく、何もないところから何かをつくり出すということで、クリエイティブチームへと名前が変わりました。今回の催しもそうですが、私はいっさい関わっていません。これまで1年間で最高500万円の協賛金を集めてきた時は、本当にビックリしました」
クリエイティブチームのリーダーを務める新4年の遠山楓呼(ふうこ)さんは、入学時にその存在を知るや、迷わず入部を決めた。高校時代は男子と同じ硬式野球部に所属。将来、メジャーリーグに携わる仕事に就きたいと考えた時に、「球団職員のような役割ができる」クリエイティブチームはまさにうってつけだった。
「私たち学生は営利団体ではありません。それぞれの組織のなかでどういった役割を担っているという、そういった思いのみに対して賛同していただける企業様を見つけるということはすごく大変なことです。2023年度は300万円ほどの協賛金をいただいたのですが、魅力の発信の仕方によって額も変わってくるので、継続的に支援をいただくことが課題ではあります」
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