山下舜平大、柴田獅子、山城航太郎...ドラフト指名続出! 福岡大大濠が誇る投手育成の極意 (2ページ目)
自主性を尊重した投手指導で、大切にしている3つの方針を明かしてくれた。
まず1つ目は「常に余力を持たせる」。八木監督は2004年から福岡大大濠高のコーチに就任し、大石達也(早稲田大→元西武)や川原弘之(元ソフトバンク)を指導。2010年に監督昇格以降は、浜地真澄(阪神→DeNA)、坂本裕哉(立命大→DeNA)、山下舜平大(オリックス)らをプロに輩出してきた。その教え子たちは、高校で燃え尽きることなく、伸びしろを残して卒業していった。
「球種であれば、あれもこれも覚えさせず、真っ直ぐと、何かひとつ自信があるボールを意図して操れるようになってからですね。まずは階段を一段ずつ上がっていこうということ。柴田に関しても、カーブとスライダーのみで、基本的に多くの球種を投げさせることはあまりしていません。多くても3つぐらいだと思います」
近年は高校生でもフォークやチェンジアップに加え、カットボールやツーシームなど、多彩な変化球を操る投手は数多くいる。もちろん、本人と話し合った上で、球種を増やすことはあるが、まずは現状の持ち球を磨いて行くことに重点を置いている。
【球速よりも制球力】
2つ目は「球速にはこだわらない」。八木監督自身、福岡大大濠から立命大に進み、野手として活躍するなかで、球速よりも「打ちにくい投手がいい投手」と体感してきた。こだわっているのは「制球力」だ。
「球速は意識して上げるものではなく、勝手に上がってくるものだと思っています。そこを意識すると、リズム、バランスがずれるひとつの要素になってきます。高校時代は球速ではなく、8、9割方は制球力で、あとは対打者との洞察力というか、見えない部分の話ばかりをしています」
2017年のセンバツで8強入りに貢献した三浦銀二(法政大→元DeNA)は、2学年上の坂本、1学年上の浜地に球威こそ劣ったが、制球力に長けていたため、ベース板をワイドに使って打者と勝負することができた。3年になり、球速も140キロ台後半までアップ。制球力と球速を兼ね備え、U−18日本代表にも選出されるなど、世代を代表する投手のひとりとなった。
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