【ドラフト2024】今朝丸裕喜が語った「長身の好右腕」から「1位候補」になるまで ターニングポイントは大阪桐蔭戦での敗戦 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi

「大阪桐蔭という名前に押されていたわけではないんですけど......力みは明らかにありました。試合が終わってから、(監督の)大角(健二)先生から『ベンチを見過ぎてバッターに集中できていないし、このままではプロに行けない』と言われました」

 新チーム結成直後、今朝丸は"3つの目標"を掲げてスタートした。

 ひとつは、甲子園で全国制覇をすること。もうひとつは、U?18日本代表に入ること。そしてドラフト1位でプロに行くこと。大きな目標を立てた以上、本気で取り組まなければならない。

 今朝丸は、下級生の頃は体づくりのなかでウエイトトレーニングに重きを置いていなかった。だが細身の体を大きくするには、筋力トレーニングは必要不可欠だと考えた。ランメニューにも懸命にくらいつき、年が明けてもひたすら追い込んだ。

 もともと少食のため、食事量を極端に増やすことは困難だったが、食事の回数を増やし、空腹の時間をつくらないように間食としておにぎりなどを頬張った。その甲斐あって、体は明らかに強さを増した。

 結果として表れたのは、センバツ準々決勝の大阪桐蔭戦だった。

「秋に桐蔭にやられている分、甲子園では絶対にやり返すつもりで投げました。投げていて楽しかったというか、自然とバッターに向かっていけました」

 表情を崩さず、淡々と投げるなかで攻めのピッチングを貫いたことで、今朝丸の評価が一気に上昇した。

【高校時代のベストピッチは?】

 そんな今朝丸に「2年半のなかで、公式戦でのベストピッチングは?」と尋ねると、今夏の兵庫大会の決勝と即答した。相手の明石商はしぶとい攻めが持ち味のチームだが、今朝丸は堂々のピッチングを見せた。

「ストレートで圧倒していこうと思いました。ピンチになるとスイッチが入っていました」

 3回二死一、三塁のピンチでは、相手の3番打者に対して自己最速タイの151キロをマーク。5回以降許した安打は1本のみで、大一番で公式戦初完封をやってのけた。

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