【ドラフト2024】今朝丸裕喜が語った「長身の好右腕」から「1位候補」になるまで ターニングポイントは大阪桐蔭戦での敗戦 (3ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi

 センバツでの大阪桐蔭戦、そして明石商戦で共通しているのは、いずれも無四球で投げ切ったことだ。

 110球を投げ切った明石商との決勝戦のあと、今朝丸はアイシングをしながら涼しげな表情で「まだまだ投げられます」語っていた。春から夏へ、さらに成長のあとを残した一戦だった。

 夏の甲子園では初戦で大社高校(島根)に敗れ、目標にしていた"全国制覇"は果たせなかったが、大会後、U−18高校日本代表に選出。

 初めての国際大会となったU−18アジア選手権大会では3試合に登板。異国のマウンドに苦労する場面もあったが、大きな経験を積んだ。なにより全国から集まった仲間たちと過ごした17日間は、かけがえのない思い出になったに違いない。

 最後の目標である"ドラフト1位"に関しては、多くの情報が飛び交い、評価についてもさまざまな意見がある。来るべき運命の日に向け気持ちは高まりつつあるが、それでもやることは変わらない。今朝丸は黙々と、プロ野球選手になるための"準備"に励んでいる。

「プロに入ったら200勝できるピッチャーになりたいです。そのために体をしっかりつくって、体重も増やしていきたいです。脂肪ではなく筋肉量を増やすことが大事なので、トレーニングもやっていきます」

 いずれはメジャーリーガーになる目標はあるのかと聞くと、今朝丸はいたずらっぽく笑いながらこう返してきた。

「いや、海外は......。(台湾のマウンドや食事面で苦労したことで)もういいかなと思っています(笑)。今の時点では、日本のプロ野球で活躍できたらと思っています」

 緩やかな成長曲線を描いてきた右腕は、静かにその時を待つ。

著者プロフィール

  • 沢井 史

    沢井 史 (さわい・ふみ)

    大阪市出身。関西のアマチュア野球を中心に取材活動を続けるスポーツライター。『ベースボールマガジン』『報知高校野球』などの雑誌や、『スポーツナビ』などのweb媒体にも寄稿。2022年7月には初の単著『絶対王者に挑む大阪の監督たち』(竹書房)を出版。共著としても8冊の書籍に寄稿している。

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