大阪桐蔭、履正社の「2強」撃破で大注目! 大阪学院大高のビジネスマン監督が見据える「日本一」への道程 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 5月26日、大阪学院大高は明石トーカロ球場での春季近畿大会、須磨翔風との初戦に臨んだ。その一戦で、辻盛監督は思いきった手を打つ。高校に入学したばかりの1年生・鶴丸巧磨を「1番・三塁」で先発起用したのだ。

 鶴丸は佐賀・黄城ボーイズ時代は捕手として注目され、辻盛監督も「捕手として見込んでいた」という。だが、鶴丸は今坂への憧れから内野手転向を直訴している。須磨翔風戦では三塁前に転がったバントの打球を軽やかな足取りで捕球し、鋭いスローイングで刺すシーンも見られた。左打席に入る打撃面では安打こそ出なかったものの、須磨翔風の好投手・槙野遥斗からいい当たりの打球を放っている。

 辻盛監督は頼もしそうな表情で「今坂のあとのショートは鶴丸やな、と思っています」と高く評価した。

 結果的にチームは槙野の前に3安打に抑えられ、1対3で須磨翔風に敗れている。それでも、鶴丸という新戦力の台頭は大阪学院大高の底知れなさをアピールするには十分だった。

プロ注目の大阪学院大高の遊撃手・今坂幸暉 photo by Kikuchi Takahiroプロ注目の大阪学院大高の遊撃手・今坂幸暉 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る

【秘密兵器は投手・今坂幸暉】

 試合後、「ほかにも秘密兵器はいるのでしょうか?」と尋ねると、辻盛監督は柔和な表情でこう答えた。

「背番号10の松下(凌大)、今日はレフトで出た中山(悠紀)、それと今坂の3人はみんな140キロ以上のスピードが出ます。とくに今坂はピッチャーとしても、めちゃくちゃいいですよ。春先に肩のコンディションが少し不安だったので春の大会はショートだけでしたけど、夏は投げさせると思います。今は肩の状態もいいので、夏は140キロ台後半が出るかもしれません。変化球もコントロールもいいですし、今坂のピッチャーが秘密兵器になるかもしれませんね」

 打者としての今坂はこの春、勝ち上がるたびに「真っすぐがほとんどこないな」と、対戦相手のマークが厳しくなっていくことを実感したという。それでも、今坂は語気を強めてこう続けた。

「マークされるなかでもしっかりと弾き返して、長打や勝負どころでの一本を打ててこそ本物だと思うので。そこを目指しています」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る