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河野伸一朗は「投手一本」か「二刀流」か「そんなこともできるの?」と驚きの大器はドラフト候補へ成長中 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 文星芸大付と対戦した夏の甲子園は、手応えと課題の両面が残った。立ち上がりは「今日はいけるな」と思うほど好調だったが、中盤以降に制球を乱し、痛打を浴びた。守備陣の乱れもあって逆転を許し、7対9で初戦敗退。河野は被安打15と打ち込まれ、「キャッチャーの構えどおりいっても長打にされて、きついなと感じました」と明かす。

 あれから半年あまりが過ぎ、河野の身長は2センチ伸びて191センチに。崎田監督には苦言を呈されながらも、体重は75〜76キロに達している。温暖な宮崎の地でボールを握るたびに、河野は手応えを感じ始めている。

「フォームを改善しようと取り組んできて、球速が安定して出るようになりました。去年は体が早めに開いて、腕が遅れて手投げに近い感じになる悪いクセがあったんです。ボールの伸びもいい感じになってきて、最近スピードガンで141キロが出ました。春の大会では145キロを目標にしています」

 本人はそう語るものの、球速は河野という左腕の本質を評価するのにそぐわない指標かもしれない。軽い力感の腕の振りでも、ホームベースに向かって加速するような生きたボールが投げられる。現時点の河野を見る限り、その資質だけでも十分に思える。

 崎田監督はこんな期待を口にする。

「上の世界で体に力がついてくれば、すごいボールを投げるんじゃないかと思います。宮崎の子はおおらかでフワッとした子が多いんですけど、河野も細かいことは気にしないタイプ。もう少し気にしてほしいけど(笑)、プロになる人はそういう人が多いですよね。河野は大舞台でも物怖じしないですから」

【上の舞台で二刀流に挑みたい】

 気になる進路は熟考中だが、当然ながらプロ志望届の提出も視野に入れている。そして、河野は「できればですが」と前置きして、こんな希望を口にした。

「上でもピッチングをしながら、バッティングをしたい思いもあります」

 高校通算本塁打数は5本ながら、昨夏の宮崎大会では打率.471をマーク。新チームに入ってからの打率も4割台をキープしているという。

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