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「世代ナンバーワン捕手」と評された堀柊那はドラフト指名なるか 報徳学園での3年間は「バッティングは出しきれなかった」 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi

 それまで自身の状態に不安を感じることが多かった堀だが、神戸国際大付戦は「ほぼベストの状態」だったと語る。だが試合には敗れ、堀の高校野球生活は終わった。

「秋には打てなかったホームランも打てましたし、夏は試合をするたびに状態も上がってきたんです。やりきったという思いはありますが、負けたことは悔いが残ります」

【いつか日の丸を背負いたい】

 高校野球が終わっても練習を続けるなか、夏の甲子園は時間があればテレビ観戦した。同じ捕手として、昨年夏からずっと気になっていた尾形樹人(仙台育英)の躍動する姿に目を奪われた。

「ホームランも含め、めちゃ打っていましたよね。夏も甲子園でプレーできるのはうらやましかったです。仙台育英が強いと思っていましたが、(決勝戦は)初回で流れが決まる怖さを感じました。自分たちが負けた試合も初回のエラーで流れが悪くなったので、初回の入り方は大事だなと、あらためて思いました」

 一次候補になっていたU−18の日本代表には選出されず、国際舞台に立つ機会はなくなったが、木製バットを使った打撃練習に本格的に向き合い手応えを感じている。

「インコースの真っすぐに怖さがあってまだ振りきれない時もありましたが、バッティングは少しずつよくなってきました。今は金属の時よりもうまく打てていると思います」

 捕手としての練習も再開し、夏休みからウエイトトレーニングを始めるなど体づくりに余念がない。食事量も増え、体重は82キロまでアップした。

 ドラフトを直前に控え、あらためて掘りにとっての高校野球を振り返ってもらった。

「キャッチャーとしてのレベルは上げられたかもしれませんが、バッティングは出しきれなかったというのがあります。長打力とか、もっとやれたんじゃないかと......。とくに、大舞台でベストパフォーマンスができなかったことは心残りです。これからの高校生活を無駄にしないよう、自主練でもできる時はしっかりやって、後悔のない毎日を送っていきたいです」

 今は秋の大会が続く後輩たちのボールを受けることが多く、生きた球を見ながら鍛錬を積み重ねている。プロという最高峰の世界で、最高のパフォーマンスを披露できる日を、そして「いつか日の丸を背負ってプレーしたい」という夢も、この手で必ず実現してみせる。

著者プロフィール

  • 沢井 史

    沢井 史 (さわい・ふみ)

    大阪市出身。関西のアマチュア野球を中心に取材活動を続けるスポーツライター。『ベースボールマガジン』『報知高校野球』などの雑誌や、『スポーツナビ』などのweb媒体にも寄稿。2022年7月には初の単著『絶対王者に挑む大阪の監督たち』(竹書房)を出版。共著としても8冊の書籍に寄稿している。

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