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慶應との練習試合で立命館宇治は何を学んだのか 躍進の舞台裏にある 「エンジョイ・ベースボール」と「リーガ・アグレシーバ」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「打席での心の持ち方について聞きました。自分たちは打席で考えすぎていたけど、慶應は来た球をしっかり振るとか、真っすぐに張っていて変化球が来た時の割りきり方とか、考え方がはっきりしていると知ることができました。選手各自がどういう思いでどんな練習をしているかを聞き、それを自分たちも生かせたことが夏に京都で勝てた要因かなと思います」

 慶應と立命館宇治は文武両道を掲げることに加え、大学の付属校という共通点がある。3月の練習試合当日、朝から慶應に貸したグラウンドで練習する姿を見ながら、感じたことも多かったと塚本は続ける。

「各自が意識する点をしっかり持って練習に取り組んでいました。練習の雰囲気もいいですし、野球を楽しんでいる姿が見られました」

 エンジョイ・ベースボール──。

 慶應の強さを支える姿勢としてあらためて知れ渡った。単に野球を楽しむだけでなく、スポーツマンシップなどを学びながら個々の成長を目指していく。

【7年計画で強化】

 一方、立命館宇治も同様のスタンスで取り組んでいることに加え、甲子園を戦った代が掲げてきたテーマがある。「1心1意」だ。「みんなで心を1つにして、1つのことに集中して勝ちとる」という意味で、甲子園では神村学園に大差をつけられても「最後まで自分たちができることをやろう」とベンチでは前向きな声が飛び交っていたと西田透部長は明かす。チームの中心として戦った塚本はこう振り返った。

「練習前や春、夏の大会を通して、試合前のミーティングでもずっと言ってきたことです。うちの学校の特徴として、強い相手でもそんなに臆することなく、相手をあまり気にせず戦える人が多い。『常に自分たちのできることを継続しよう』と話してきたので、最後までそこにつながったと思います」

 学校単位の部活動では他チームとの交流は必ずしも多く生まれないが、他者をさまざまに知ることで新たな発見がある。立命館宇治は慶應と交流を持ち、自分たちの成長に結びつけた。

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