PL学園・中村順司と帝京・前田三夫が甲子園のベンチからにらみ合い「あれはなんだ?」「大変失礼なことをしました」 (2ページ目)
●アメリカ遠征で7戦全勝
前田 中村さんが試合の時に手にしていたボールは、何か意味があったんですか?
中村 サインの小道具だったんですよ。ブロックサインだけじゃなくて、私の現役時代なんかはバットとか道具を使ってサインを出している監督がたくさんいてね。
前田 関東ではあまり見ていませんが。
中村 こちらは多かったですよ。それで、試合前もボールを手にしながら選手たちを見ていたんです。
前田 いやいや、中村さんを凝視するなんて大変失礼なことをしました。監督同士の駆け引きも甲子園での戦い方のひとつだと思っていたので、気持ちで負けないつもりでつい......。反省しております(笑)。
中村 俺はね、高校野球の監督になったのが30代半ばと遅く、周りは経験豊富な人ばかり。だから監督同士が勝負するなんて考えたこともないんです。それよりも自分のチーム、選手たちをしっかり見て戦おうという意識が強かったので、試合前に前田さんとそんなやりとりがあったなんて信じられないですよ。PL学園の監督として数々の偉業を成し遂げた中村氏この記事に関連する写真を見る前田 でも、そのおかげで中村さんとの距離が近くなった気がします。遠征中、中村さんは試合ごとにどういった打順でいこうかと私に聞いてくれましてね。それで、あの選手が調子いいですよなどと伝えたんですが、本番になると私が言った打順と全然違う。
明日、「ピッチャー誰がいい?」と言われて、これも答えるんですが違ったりする。なるほど、中村さんは温厚だけどやっぱり何か持ってる人だなと思いました(笑)。でも結果的にアメリカで7戦全勝ですからね、さすがですよ。アメリカ遠征の思い出を楽しそうに語り合うふたりこの記事に関連する写真を見る
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