仙台育英エース・高橋煌稀は藤川球児のストレートを目指す 基準は「育英ガン」 (4ページ目)
高橋が目指すもの。それは「わかっていても打てないストレート」の具現化である。この謳い文句、どこかで聞いたことがあると思えば、藤川球児の代名詞だった。
「自分、藤川さんを参考にしていて」
高橋が白い歯を見せながら言葉を重ねる。
「打者からしたら浮き上がって見えるじゃないですか。伸びのあるボールを投げるためには、ボールにしっかりとバックスピンをかけて回転をきれいにしないといけないというか」
藤川のように人差し指と中指を閉じて、ボールにしっかり指を添える。そして、縫い目を「ひっかく」イメージでリリースすることを意識する。より、ボールの出力を高めるためにサンドボールやメディシンボールを使ったトレーニングなど研究に余念がない。
仙台育英の背番号1として迎える夏。圧倒的な安定感を誇る右腕の集大成を飾るボール。それは、バッターがわかっていても打てない、火の玉ストレートである。
著者プロフィール
田口元義 (たぐち・げんき)
1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。
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