仙台育英エース・高橋煌稀は藤川球児のストレートを目指す 基準は「育英ガン」 (3ページ目)
高橋と須江が一致するターニングポイントがある。昨年3月、中央学院との練習試合での完封劇だ。100球程度の球数が物語るようにコントロールも安定していた。この試合で、高橋が「冬に取り組んできたものがハマった」と言えば、須江も「ストレートのアベレージは138キロくらいでしたけど、Aチームに入れても際立つ存在になる」と、投手陣の底上げを確信できたほどだった。
潜在能力があり、勤勉でもある高橋は2年生の春からベンチ入りを果たした。実戦登板を重ねて鍛えられたその過程で欠かせない要素のひとつに、メンタルもあった。
【目指す投手は藤川球児】
分岐点は自分でもはっきりと覚えている。「140キロクインテット」の一角として立った、昨夏の甲子園のマウンド。とりわけ、胴上げ投手となった決勝戦だった。
「夏の甲子園までは、ピンチの場面で投げる時は焦りだったり、『抑えられるかな?』って自信のなさっていうか、結構ネガティブになってしまうことがあって。それが、甲子園で投げさせてもらうなかで決勝戦は点差が開いていたこともあるんですけど、最終回にランナーを背負って、下関国際さんの応援とかすごく盛り上がっているなかでも楽しんで投げることができたっていうか。あのマウンドで変わったっていうのはあると思います」
制球力に長け、カーブ、カットボール、チェンジアップ、スプリットと、かつて不安要素だった変化球を今は多彩に操る。先発から抑えまで、それこそ「いかなる状況においても求められる以上のパフォーマンスを安定して出す」と監督に言わしめる高橋ではあるが、ストレートという自分にとっての生命線だけは見失うことがなかった。
今年春のセンバツは初戦の慶應義塾と準々決勝の報徳学園戦で登板し、合計10回2/3を1失点と力を誇示できた要因として、高橋はこの武器を真っ先に挙げた。
「相手に研究されているなかでもストレートで抑えられたのは、ボールの質とか角度っていうのも関係していると思うので。そこをもっと高めていきたいですね」
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