スカウトが注目する香川県立校の快速右腕 「冗談抜きで150キロを目指そう」監督とケガをしないプログラムに取り組んだ (2ページ目)
●「冗談抜きで150キロを目指そう」
丸亀南中の軟式野球部時代から速球派右腕として県内では有名だった髙橋。高校進学に際しても強豪の高松商など多くの選択肢があったが、あえて前川監督が指揮する多度津への進学を決意する。
「監督は練習見学に行っても熱い方だったし、僕に合っていると思いました」と髙橋は振り返る。
2021年4月、多度津に入学。髙橋の能力を有望視した前川監督がまず取り組んだのが「絶対にケガをさせない」プログラムづくりだった。
「快秀は中学時代にはコントロールが微妙だったし、右肘に少し痛みを抱えていたので、『冗談抜きで150キロを目指そう』と伝えたうえで、肘に負担をかけない投げ方を教えました」と前川監督は話す。
高橋へ常に寄り添い指導してきた前川正勝監督 そのプログラムは多岐に渡った。フォームの土台をつくるための肩回りや股関節の柔軟性を高めるトレーニング、制球力を高めるため「8割の力でラインに乗せる」「4球で1アウトをとる」という投球スタイルの意識づけ......など。
「上のステージで活躍するために自分で組み立てる、自分で追い込む気持ちの部分にもアプローチしました」と前川監督は語る。
1、2年時の起用法についても、「内気だけど真面目にコツコツ取り組む」という髙橋の性格を見越したものだった。結果、130キロちょっとだった球速は昨秋には140キロ近くまでアップし、モチベーションアップしたまま、冬に突入した。
「スクワットでは入学時の70キロから140キロ、デッドリフトも60キロから140キロを上げられるようになりました」と髙橋は胸を張る。
そして冬を越してブレイクの時が訪れた。練習試合で140キロ超えを記録すると、春の県大会3回戦では一気に146キロまで伸びた。
「下半身の筋力がアップしたことで8割の意識で球速を上げられるようになりました。正直、146キロも出そうという意識ではなかった。いつもどおり投げたら出た感じです。監督から教わったことを継続したことで、今の自分があると思います」
髙橋にとって大収穫の春だった。
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