「高校ナンバーワン捕手」は早くも確定か 報徳学園・堀柊那はたしかな技術と天性の華でドラフト上位候補になる

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 早くも今年の「高校のナンバーワン捕手」が確定したと言ってもいいかもしれない。報徳学園の堀柊那(しゅうな)のことだ。

 今春のセンバツでは、準々決勝で仙台育英(宮城)との死闘を制してベスト4に進出。とくにそのディフェンス能力の高さは、見る者に鮮烈な印象を植えつけた。

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【吸い込まれるような引力】

 堀は自身の技術や配球について、明朗快活に語るタイプではない。どちらかと言えば、二塁送球タイム1秒8台をコンスタントに叩き出す強肩や50メートル走6秒1の俊足など、パフォーマンスで自己主張するタイプだろう。

 だが、今春のセンバツを見ていて、堀の魅力はそんなわかりやすい部分だけではないような気がした。

 プロテクターをつけた堀のプレー姿は、どこか涼しげだ。体に余計な力が入っておらず、軽やかな身のこなしが目を引く。ただし、ふにゃふにゃと芯がないわけではない。堀が力感なくキャッチャーミットを構えるだけで、不思議と「ピタッ」という効果音が聞こえてくる気がする。

 その構え姿には、吸い込まれるような引力がある。投手は相当投げやすいのではないかと思い、3回戦の東邦(愛知)戦に先発した2年生右腕の今朝丸裕喜に聞いてみた。

「投げやすいですよ。体もデカイんで」

 この今朝丸の発言に、少し引っかかりを覚えた。堀は身長179センチ、体重79キロと捕手としてとりわけ大きいわけではない。だが、今朝丸は「防具をつけると、もっとデカく見えるんですよ」と明かす。

 私が感じた「吸い込まれるような引力」について聞いてみると、今朝丸は「それは感じます」と同意した。

「自分はコントロールがいいほうではないんですけど、投げやすいです。低めのギリギリのコースもフレーミングして捕ってストライクにしてくれるので、うれしいしラクになりますね」

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プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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