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「エラーは3つまでOK」「しょぼいヒットでOK」東邦・山田祐輔監督は選手たちになぜそう声をかけたのか

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 甲子園で強豪校の地位をキープするのは簡単なことではない。

 多くの甲子園常連校にはカリスマ監督がいて、彼らには有望な選手を呼び集める求心力と、長年培ってきた独自の選手育成法がある。そして、選手をとことん鍛え上げることで数々の成果を残してきた。しかし、カリスマがチームを去ったあと、強さを維持していくのは難しい。

 東邦(愛知)を1989年春のセンバツで日本一に導いたのは阪口慶三監督(現大垣日大/岐阜)。2019年の春には、森田泰弘監督がセンバツ制覇を果たした。

 その後、2020年4月に指揮官を任されたのは、当時29歳だった山田祐輔監督だ。

2020年4月から東邦の指揮を執る山田祐輔監督2020年4月から東邦の指揮を執る山田祐輔監督この記事に関連する写真を見る 山田監督は東邦のキャッチャーとして2008年夏の甲子園に出場。立教大学でもレギュラーポジションを掴み、3年秋のリーグ戦では打率3割をマークしている。卒業後、一般企業で3年間勤務したのち、2016年にコーチとして母校に戻ってきた。前任の森田監督から、将来的に監督になることを期待されたからだ。

 センバツ1回戦で鳥取城北(鳥取)を6対3で下し、監督として甲子園初勝利を挙げた山田監督は「めちゃくちゃうれしいです。なかなかうまくいかない展開でしたが、勝ちを掴めた。本当に選手が頑張ってくれました」と笑顔で答えた。

 日本一のチームを引き継いだ時、「森田野球を引き継ぎながら私の色を加え、森田監督を超えられるような野球部を作っていきたい」と語った山田監督。初勝利を挙げたあと、「前任者から渡されたバトンは重くないか」という問いにこう答えた。

「東邦の監督として、勝つことは使命だと思ってます。ただ、(どうやって伝統を継承するかというよりも)選手とどう向き合うか、選手と一緒にどうやって戦っていくかを考えています。監督のプレッシャーを感じるよりも、スタンドの応援を励みにしたい」

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