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「エラーは3つまでOK」「しょぼいヒットでOK」東邦・山田祐輔監督は選手たちになぜそう声をかけたのか (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 野球部のモットーは「応援されるチームになる」だ。

「スタンドでたくさんの方に応援していただけました。気持ちいいですね。応援してくださる方に楽しんでいただけるように、と思っています。素晴らしい応援の中で、選手は力を発揮してくれました」

 試合後の会見で筆者が驚かされたのが「エラーは3つまでOK」という言葉だ。

「初戦はどうしても(体が)硬くなるので、内容よりも力を出してくれればと思って、選手たちに『エラー3つまではOK』だと言いました。積極的にいこうと、みんなで決めました。

 ピッチャーが打ち取った打球を、いかにアウトにするかが課題。基本に忠実に、アウトにできる打球を確実にアウトにする。今日は守りのミスがありましたが、頑張った結果のミスはいい。だからエラーは3つまで想定内です」

 2回に1点を奪った東邦は、4回にバントヒットなどでチャンスを広げて3点を加え、試合を優位に進めた。

「消極的にならないように、『序盤は結果を気にしないで思い切ってバットを振れ』と言いました。相手のピッチャーは丁寧に、いろいろな球種を投げてくるのでクリーンヒットは出ないだろうから、『しょぼいヒットでOK』と。バントがヒットになったのは、単純にランナーを進めようと思ったのがいいところに転がってくれたからです」

 6回裏には、2アウトから3つのフォアボールと2本のヒットで3点を返されたものの、エースの宮國凌空が三振を奪って満塁のピンチを脱した。そして7回、8回に1点ずつ加えて勝利を収めた。

「勝因は、積極的に攻めることができたこと。ピンチで宮國が粘ったことですね」

 バント攻撃によってペースを握った東邦。前チームの時から行なっている実戦形式のバント練習で技術が磨かれ、観察眼も養われたと山田監督は言う。

「マシンを使ってではなく、ピッチャーが投げてランナーもつける実戦形式のバント練習をずっと続けていました。試合と同じ雰囲気の中でやっています。失敗すれば厳しいことも言いますよ。バント練習は1回あたり30分~40分かかるので効率はよくないかもしれませんが、その練習が生きていると思います。

 バントのコースに関しては、野手の動きを見ながらしっかりやってくれたと思います。そういう意識があれば、バントヒットのようなラッキーにつながるのかなと。試合になれば当然、緊張するとは思いますが、自信を持って落ち着いてやれたんじゃないでしょうか」

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