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大阪桐蔭・西谷浩一監督「トップにいる感覚は1%もない」 選手には「春で終わるつもりでやろう」の真意 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今春は、現段階でコンディションも良好。勝つ要素を備えたタフなエースが、涼しい顔で投げ抜く姿は容易に想像できる。それでも西谷監督は慎重で、「まだまだ」「もっともっと」を繰り返した。

「チームとして、すべて秋から成長していてくれないと。前田も秋のコンディション面を差し引いても、もっとバージョンアップしないと勝てない。前田を打とうとやってくる相手を抑えるのは簡単じゃない。ただ、その頭は持っている子なので、どこまでやってくれるか。

 野手陣も前田以外の投手陣もまだまだ。頑張ってやっているのはわかっていますが、試合になってどうか......。センバツはいつもそうですけど、冬を越しての成長というのが大会に入ってみないとわからない。手探りの感じで大会に入って、『さあどうか』というのが正直なところです」

【勝っても負けてもいろいろ言われる】

 そう語る西谷監督だが、それでも2012年以降、4度のセンバツ優勝を果たしており、春も強い。しかし、そんな誘いに乗ってくる指揮官ではなく、話を向けても軽くいなされた。

「10年で8回くらい勝っていたら、『春に強い』と言われてもそうかと思いますけど、10年で4回では......」

 4回でもすごいことだが、これも本音。負けた時の悔しさが強く残っているから、「まだまだ」「もっともっと」となるのだ。

「見る人からしたら、こういうことを言うと『アイツ謙遜して』と思われるでしょうけど、春の仕上げ方、勝ち方があるなら教えてほしい。毎年困っていますから」

 チームの話題、野球の話題になると言葉が慎重になってくる。あらためて口にするほどのことでもない、というのもあるのだろうが、なにより隙をつくりたくないのだろう。どんなに話を向けても、最近は苦笑いを浮かべいつもこう語る。

「勝っても負けてもいろいろ言われるんで......」

 高校野球の注目のされ方も、ネットの普及とともに変わってきた。昨年は圧勝続きでセンバツを制すると、「強すぎる」「選手を集めすぎ」「勝って当たり前」といった声がネットにあふれた。

 そもそも昨年のセンバツに関しては、相手投手陣のコンディションが崩れたなかでの結果であった。しかしそういう側面には触れられず、ただただヒールに仕立てられるようなことも少なくなかった。

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