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大阪桐蔭・西谷浩一監督「トップにいる感覚は1%もない」 選手には「春で終わるつもりでやろう」の真意 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 現時点で1年前のチームと比較してもらうと、こんな答えが返ってきた。

「去年で言えば、とにかく一生懸命やるチームでした。野球がホントに大好きで、きつい練習でもガンガン声を出して盛り上がって取り組める。僕が『彼らともっと一緒にやりたい』と思う、そんなチームでした」

 キャプテンの星子天真、松尾を中心に空気をつくり、指導者も巻き込んで乗せるチーム。西谷監督は「練習に来るのが楽しかった」とも語った。では今年のチームはどうか?

「1年上のいいお兄さんについてやっていた弟たちが、自分たちの代になった時にどうやったらいいのか......そこからスタートして、戸惑いながらも自分たちなりに考えてここまできた。そんな感じです」

"絶対王者"と見られるチームも、中身は普通の高校生の集まり。昨年秋の大会中、前田がこんなことを言っていた。

「試合前のアップで明らかに緊張しているヤツがいたんで、しゃべりかけてほぐしにいったりしていました」

 そう話す前田も、"松尾ロス"で調子の上がらない時期があった。ひとりで抱え込んでマウンドに立っていたところ、バックからの「ひとりとちゃうぞ」の声に気持ちが軽くなったとも。それぞれに経験を積みながら成長し、今に至っている。

 そんな選手たちに西谷監督は、昨年の秋以降、ある声をかけ続けてきた。

「春で終わるつもりでやろう」

 この言葉の意図はこうだ。

「2学年で戦うのは秋と、出場できればセンバツになります。夏は登る山が違いますから、とにかくこの2学年でどこまでやれるか。これはセンバツに出る時にはいつも言っているのですが、春の山をしっかりと登りきって、それが終わってからまた夏の準備だと」

【初戦の相手は敦賀気比】

 さて、4年連続14回目の春、西谷監督はどんな大会を描いているのか。

「もちろん36校すべてに優勝のチャンスがありますが、そのなかでも10数チームの戦いになるんじゃないかと。なんとかそこに紛れ込んで、最後に生き残っていたいですね」

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