「ペッパーミル」だけじゃない! 甲子園球児がWBCで大谷翔平やヌートバーから学んだこと

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大会が始まって早々、大きな論争が起きてしまった。

 選抜高校野球大会(センバツ)の開幕初日、東北(宮城)の選手が「ペッパーミル」を披露。ペッパーミルとは、胡椒挽きを両手で絞るようなパフォーマンスのこと。侍ジャパンのラーズ・ヌートバーが火つけ役となり、今や国民的認知度を得たポーズである。ところが、攻撃終了後に東北ベンチは塁審から「パフォーマンスはダメです」と注意を受け、インターネット上では賛否両論が飛び交った。

 行為の是非はさておき、WBCの狂熱が甲子園球児にも乗り移っていることを実感する出来事だった。

センバツの開幕試合に登場した東北のエース・ハッブス大起センバツの開幕試合に登場した東北のエース・ハッブス大起この記事に関連する写真を見る

【侍ジャパンの影響】

 センバツ初日に登場した選手に聞いてみると、ほぼ全員が「WBCを見ていた」と答えている。

 大垣日大(岐阜)のエース右腕・山田渓太は、ヌートバーの存在が自身のパフォーマンスに少なからぬ影響を与えたと明かす。

「ヌートバー選手のように熱さを前面に出してプレーする選手を今まであまり見たことがなかったので、いいなと思いました。侍ジャパンですらあんな熱いのだから、高校球児は高校生らしく、野球を純粋に楽しんでいる姿を見せたいなと。今日はホームランを打たれて1球の怖さを知りましたが、のびのびと自分のベストは出しきれました」

 東北のエース右腕・ハッブス大起(たいき)は侍ジャパンの試合を「必ず見ている」と語った一方、苦笑しながらこう漏らした。

「就寝時間が20時だったり20時半だったり、大会に備えて早く寝ていたので、途中でテレビを消していました。イタリア戦で言えば、岡本和真さんが片手でレフトスタンドにホームランを打ったのを見て、ひと安心して寝ました。(東北OBの)ダルビッシュ(有)さんは見られませんでした」

 WBCで心を打たれたシーンを聞くと、ハッブスは大谷翔平の名場面を挙げた。

「大谷選手がセーフティーバントをしてみたり、吠えて投げてみたり。あらためて格好いいなと感じました。日の丸を背負うのはやっぱり重みがありますし、メンタルの強い人たちなんだなと。みなさん、雲の上の存在です」

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