プロスカウトが絶賛する大学球界の好投手5人。155キロ右腕、タテスラの使い手など大学日本代表候補合宿で魅せた (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 進藤は今年から大学日本代表に選ばれている強肩捕手で、現時点での力量は捕手陣で頭ひとつ抜けている。順当なら来年の大学日本代表の正捕手最有力候補だろう。その進藤に「受けてみて驚いた投手は?」と聞くと、細野と常廣の名前が挙がった。

「細野は真っすぐのスピードはあるし、スライダーはスピン量がすごいので打者の左右に関係なく、カウント球にも勝負球にも使えると思いました。落ちる系のスプリットもよかったので、『もっと使っていいんじゃない?』と伝えました」

 続いて常廣に対しては、進藤はこんな実感を語っている。

「ストレートが強かったです。低めのボールの伸びがすごくて、ミットに吸い込まれてくるような感覚がありました」

 常廣は招集された20投手のうち、最後に登板して最速152キロをマークしている。

 大分舞鶴高から青山学院大に進学し、ここまで東都大学リーグ通算2勝と華々しい実績はない。だが、この投手の渾身の一球を目にすれば、ドラフト1位クラスのポテンシャルを持っていることは十分伝わるはずだ。

 身長180センチ、体重73キロという投手らしい長身痩躯に、しなやかでバランスのとれた投球フォーム。爪弾かれたストレートはぐんぐん加速して、捕手のミットを強く叩く。来年は春からリーグ戦で存在感を示せれば、大学球界の顔になれるだろう。

 3日間にわたる合宿で光を放った逸材たち。冬を越えた頃にはその光はますます強さを増し、きらめいているかもしれない。

【著者プロフィール】菊地高弘(きくち・たかひろ)

1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数

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